ホスピタリティとは?ホスピタリティ精神がお客様感動を生むその訳とは

接客業に携わる人なら一度は耳にしたことがある「ホスピタリティ」という言葉。
聞いたことはあるが、意味を理解し、行動に移せている人はどのくらいいるのでしょうか。

ホスピタリティとは、相手に対する思いやりの行動、おもてなしという意味で使われます。

ホスピタリティ精神を持ち合わせお客さま対応をすることで、「こんなことまでしてくれるのか」「想像もしていなかった対応」など、お客さまに満足以上の感動体験を提供することができるのです。
その結果、「また、行きたい」「○○さんに接客をお願いしたい」などと、リピーターやファンが増えていきます。

一方で、ホスピタリティ精神がない接客は、ただのサービスであり、選ばれる施設や企業になることができません。なぜなら、お客さまの記憶に残らないからです。
商品やサービスがあふれている現代において、お客さまに選ばれるためには、他社と同じではなく、他社と違うことを行う、人だからできるサービスで、一歩抜き出ることが重要です。

ホスピタリティとは、他社との差別化を図り、選ばれる存在になるためにとても大切なのです。

ホスピタリティ(hospitality)とは

ホスピタリティとは、相手への思いやりの言動、丁寧なおもてなし、歓待の気持ちのことです。
相手のことを想い、喜ぶこと、潜在的にもっているニーズを満たす行動のことです。
ホスピタリティの特徴は、相手が喜ぶだけでなく、提供した側も相手の喜びに共感し共に喜びを分かち合うことです。

相手の立場に立った行動、それがホスピタリティです。

主に、接客・接遇の場面で使われるため、接客業をされている方、経営をされている方は聞いたことがある言葉だと思います。

ホスピタリティとサービスの違い

よく比較されるホスピタリティとサービスの違いですが


ホスピタリティ】=相手と同等の立場で、相手が想定していいことを言動に
          移して提供すること
          マニュアルにない行動
サービス】=サービスされる側が主人であり、相手が想定していることを言動に
          移して提供すること
          マニュアル通りの行動

※「サービス」の語源は、ラテン語のservus(奴隷)
  奴隷は主従関係の中で主人に頼まれた業務をこなすという役割を持っており、
  指示通りに行動することが「サービス」の意味です

ホスピタリティ精神のメリット

1、顧客満足度(CS)が向上
ホスピタリティ精神をもって行動することで、お客様の満足度が向上します。
お客様が思ってもみなかった嬉しい経験を提供することで、お客様の気持ちは高まり
お客様感動に繋ながります。
お客様の満足が高まることで、良いクチコミ・評判が広まり、お客様が増えることが期待
できます。

2、リピーターが増える
感動体験をした施設には、また行きたい、またあのスタッフと会いたいと思っていただける
ことでしょう。リピーターが増え、自身のファンが増えることが期待できます。
企業にとって、売り上げを上げるためには、新規顧客を取り込むことと、リピーターを
増やすことが大切なのです。

3、従業員満足度(ES)が向上
ホスピタリティ精神を持ち、お客様に喜んでもらうことで、従業員自身もモチベーションが
上がり、仕事への意欲が増す
でしょう。
従業員が意識高く働くことで、企業の業績が上がることが期待できます。
接客業において、働く従業員の気持ち次第で、サービスの質はいくらでも変えることが
できるのです。

ホスピタリティの事例

1、ホテル
~何度も宿泊されているお客様へ~
コミュニケーションを取っていくうちに、部屋で食事をされることが多いこと、左利きであることが分かり、
・部屋のデスク周りを、左利きの方が使いやすいようにチェックイン前に移動させた
・ルームサービスにも情報を共有。提供の際は左利きの方用にセッティングするよう指示
・チェックイン時は名前でお呼びし挨拶+気さくな会話で歓迎した

2、レストラン
・暑い時期は、冷たいタおしぼりを、寒い時期は温かいおしぼりを提供した
・小さなお子様が泣いている時は、おもちゃなどであやした
・足の悪い方、障害をお持ちのお客さまには入口の近い席、広い席、お手洗いに近い席など
 臨機応変にご案内した
・常連のお客さまにはお名前でお呼びし、お出迎えした。
・出口まで来て丁寧なお辞儀でお見送りをした

3、アパレルショップ
・常連のお客様に対して、好みの洋服が入荷した際は電話でご案内した
・来店に対するお礼の手紙が届いた(手書き)
・雨が降りそうであったため、雨カバーを商品に被せて渡した

普段の接客+αで、お客様が望んでいるだろうこと、喜びそうなことを従業員自らが考えて行動すること
それが、ホスピタリティなのです。

ホスピタリティを身につけるためには

ホスピタリティ精神を持った行動を起こせるようになるためにはどうしたら良いのでしょうか。
言葉で、ホスピタリティと表現するのは簡単なのですが、実際にできるようになるためには、日々の意識と、相手を思いやることが大切です。

1、常に相手の立場で考えること
自分がお客様だったら、何をしてもらえたら嬉しいだろうと想像し、常にアンテナを張って行動してみましょう。自分だけではなく、家族・友人にヒアリングして情報を収集してみるのも良いです。
まずは、自分がされて嬉しいことをお客様に提供してみませんか。

2、周りをよく見て行動する
お客様が望むこと、困っていることは行動に表れることがあります。しっかりと周囲、お客様を観察し、何かに気づいたときは、咄嗟に声をかけたり行動に移すことが大切です。
気づいたけれど、行動に移せなかったという人が実はとても多いです。思っているだけでは相手に伝わらないため、思い切って言動に移してみましょう。相手は、見ていてくれている、気にかけてくれていると嬉しい気持ちになるでしょう。

3、コミュニケーションスキルを磨く
話すことはもちろん、聴く力も養っていきましょう。聞き上手は相手に安心感を与えます。相手の話をよく聞くことで、相手の気持ち、望んでいること、言葉には出てこない潜在的なニーズを知ることができます。そうすることで、もっとこうしてあげたいなどのホスピタリティ精神が生まれてきます。
聞き上手はあいづち上手です。しっかりと相手の話に心と目と耳で聴く意識を持ちましょう。

職場におけるホスピタリティ

ホスピタリティは、サービスを提供する現場だけではく、従業員を取りまく環境でも大切であると考えます。
職場もホスピタリティ溢れる会社であれば、従業員も働きやすく、恩返しがしたいと考える人も増えるでしょう。意識の高い従業員に長くいてもらえるよう、職場内のホスピタリティも忘れないでください。

1、職場環境を整える
こんな環境であれば従業員が働きやすいだろう、仕事がしやすいだろうと会社側が考えて環境を整えることが大切です。そのためには、従業員の働いている環境をしっかりと把握することが重要です。
従業員とコミュニケーションを取り、従業員が望んでいるだろうこと、喜ぶだろう環境を整えられるように取り組んでみてください。会社側がホスピタリティもって従業員と接するようにしてください。

2、労働条件を見直す
給与の見直し、福利厚生を手厚くするなど、ホスピタリティを表すことができます。
従業員の満足のいく給与形態であるか、休暇が取りやすいか、プライベートも充実させることができているのかなど検討することで、働きやすい環境を作ることができます。
従業員を大切にしていることを伝えることができるのです。

会社側としてできるホスピタリティを是非取り入れていきましょう。

まとめ

ホスピタリティ精神をもって働くことで、お客様も自分自身も幸せになることができるのです。
また、ホスピタリティ精神をもって接客することで、他社との差別化に繋がり、リピーターや新規客の増加により、会社の売り上げ増加につながることが期待できます。

会社全体で、ホスピタリティ精神をもっていることで、従業員満足にも繋がり、良い社員が長く勤めらえる会社、良い社員が入ってくる会社に変わることができるでしょう。

接客業の事例でご紹介してきましたが、直接人と関わらないモノづくりの現場においても、ホスピタリティ精神は必要不可欠です。
作った製品を手にするお客様のことを想い、モノづくりを進めることが大切です。

人として、社会人としてこのホスピタリティ精神はとても大切なことなのです。

これを機会に、相手に興味をもって、相手の行動を観察し、相手の喜ぶ姿を想像しながら行動してみませんか。
良いことをすれば、いつか自分にもかえってきます。

仕事だけでなく、プライベートでもホスピタリティ精神をもっていきたいですね。