商品やサービスを一生懸命に提供をしても、クレームを受けることがあります。
先日、2021年度入社の新入社員の皆さまのフォロー研修を行いました。その中で、クレームをすでに受けたことがあると答えた人は8割。「うまく対応できなかった」「先輩や上司に迷惑をかけてしまった」「お客様がさらに怒ってしまった」など、クレーム応対に慣れていない新入社員はうまく対応できなかった様子。それは当然です。クレーム応対の方法を学んでいないからです。クレーム対応も接客と同じで正解があるものではないと思います。しかし、基本的なフローやポイントを知っているだけで、いざという時の対応が大きく変わってきます。新入社員だからと許されるものではありません。
新入社員の皆さんも初期対応ができるように知識としてしっかりと身に付けられるように、研修で伝えていっていただきたいものです。
クレームが発生する要因と、クレーム応対の基本手順を順番に見ていきましょう!
なぜクレームは発生するのか
まずは、クレームがなぜ発生してしまうのかを考えていきましょう。
お客様は接客を受ける、サービスを利用する時、何か期待して利用します。
「ここのお店の料理は美味しいと有名だから楽しみだな」「どんな素敵なスタッフが対応してくれるんだろう」「新作のお洋服沢山あるかな」など、皆さんもホテルやレストランなどを利用する際に無意識のうちに「こんなことをしてくれるだろう」などと期待を抱いているかと思います。
その期待を裏切る、下回った時に「不満」や「怒り」を感じ「期待を裏切られた」=「クレーム」に発展していきます。
しかし、クレームは全てのお客様が企業に伝えるものではありません。接客、サービスに不満を感じたけれど、心の中でとどめておいて、伝えない方がほとんどです。不満を持ったお客様のうち4割の人しかクレームを言わないといわれています。その他6割の人はクレームを言わない「サイレントクレーマー」と言われたりします。このサイレントクレーマーは企業にクレームを伝えない代わりに、SNSや口コミで悪い評判を流してしまう可能性があります。企業サイトの口コミや、個人のSNSアカウントで実際に見たことがあるという人もいるのではないでしょうか。
悪い評判は良い評判より早く多くの人に伝わるので、とても怖いものです。わずかな確率で不満を企業に伝えてくれたお客様の対応は、迅速かつ正確に行うことが再来店、お客様満足に繋げるために大切ななのです。特に新入社員は、初めてクレーム応対の場面に遭遇するでしょう。クレームを怖がる人もいますが、そもそもクレームを言ってくれるお客様はごくわずかで、その意見はありがたいものとしてとらえるよう伝えておきたいものです。
接客業でのクレーム応対の基本手順~5ステップ~
では、次に接客業におけるクレーム応対の基本手順を見ていきましょう。
あくまでも基本的なクレーム応対の流れです。
お客様の様子や内容によっても変わってきますので、そこは現場での臨機応変さが求められる。
基本手順~5つのステップ~
基本的な流れは、「謝罪」⇒「傾聴」⇒「質問」⇒「代案・提案」⇒「お礼」です。
1.まずは「謝罪」
最初にお詫びの言葉を伝えます。
ここでの謝罪は、事実確認をする前の段階ですので「不快な気持ちにさせてしまた」ことに対して謝罪です。ただ単に「すいません」「申し訳ございません」などと機械的な謝罪をすると、この段階でお客様の不満がさらに大きくなっていきます。目の前のお客様の気持ち(怒り、悲しみ、悔しい)を察知し、寄り添うような言葉をつけ「残念なお気持ちにさせてしまい大変申し訳ございません」などと謝罪しましょう。「ちゃんと話を聞いてくれそうだ」「気持ちを分かってくれる」と思っていただければ、クールダウンにもつながります。ここでの対応の仕方次第で、クレームがさらに大きくなる可能性があるので、お客様に寄り添った言葉を付けること、気持ちを込めてを伝えることを忘れないようにしましょう。
新入社員のように経験が浅いとこの段階で焦ったり、怯えてたりすることもあるかもしれません。
その気持ちが態度に表れてしまわないように、日頃から危機管理能力を高めるために研修などを通じてトレーニングを行いましょう。
2.お客様の声にひたすら耳を傾ける
お客様の話をひたすら聞きましょう。
どんなことがあって、何に怒っているのか大切なキーワードは聞き逃さないようにメモを取れる場面であれば書き留めておくことも重要です。お客様の気持ちに寄り添う共感の言葉や相づちを適宜打つとしっかりと話を聞いていることが伝わります。
お客様が興奮している場合もありますが、そんな時こそスタッフは落ち着いて対応する強い心が必要です。何度も同じことを繰り返すことや、お客様の勘違いなどがあっても、途中で口を挟まずに、まずは傾聴の姿勢を示しましょう。「はい、はい、はい、はい」と返事を繰り返すと適当に聴いていると思われてしまうので、オウム返し、要約などを使い単調な相づちにならないように注意が必要です。
クレームは企業にとってありがたいものだという気持ちで聞いてください。
3.質問をして事実確認
ここでは、質問を投げかけて事実の確認を行っていきます。
ポイントとしては唐突な質問の仕方はせず、クッション言葉を使ってできるだけ柔らかい表現で質問をすることです。「よろしければ、先ほどおっしゃた●●について詳しく教えていただけませんか」「差支えなければ、お名前をお聞きしてもよろしいでしょうか?」といったように文章の前にクッション言葉を付けて伝えるだけでも丁寧な印象を与えることができます。
日頃から、正しい敬語表現と感じの良い話方を意識しておかないと、いざというときに使えません。
特に、新入社員はこの「クッション言葉」が使えない人が多いように感じます。「恐れ入りますが」「ご足労ではございますが」「失礼ですが」など言葉の引き出しを増やしておくことが重要です。
4.要望や解決するための提案を行う
これまでに、お客様にどのようなことが起こり、どんな気持ちで、どうしてほしいのかを確認できた段階です。
ここでは、問題を解決するため、お客様に納得していただくための手段の手案や代案を伝えます。
ここでも伝え方がポイントです。「では、返金いたします」「すぐに担当者に確認して折り返しご連絡します」といったようなぶしつけな対応はNG!決して上から目線にならず、断定的な言い方はさけ、「●●といった方法で返金させていただこうと思うのですが、いかがでしょうか?」「すぐに担当者に確認をして5分後に折り返しのご連絡をさせていただきたいのですが、よろしいでしょうか?」のように、相手の都合を伺う言い方が良いです。
企業として対応できる内容をお客様に納得していただくためにも、先を急がず、許可を得られるような丁寧な代案・提案をしていきましょう。
新入社員の場合、対応方法に迷った場合勝手な判断をしないように日ごろから伝えておくと良いです。
5.感謝の気もちを伝える
クレーム応対の最後のステップは「感謝の気もちを伝える」です。
初めに触れたとおり、クレームを言ってくれるお客様は非常にありがたい存在です。
指摘をしてくれてありがとう、教えてくれてありがとうという感謝の言葉と、再発防止に努めるなどの前向きな言葉を添えます。
「貴重なご意見をありがとうございます」「今後このようなことがないよう、スタッフ指導を行ってまいります」などです。
最後はお客様を丁寧にお見送りをして、誠意を見せるようにしましょう。
いかがでしたか?
接客の中でもクレーム応対は本当に難しいと感じます。
講義を受けたからと言ってすぐにできるようになるものではありません。
日頃から、クレーム事例を共有し、どのように解決をしたのかその方法もスタッフ全員に共有しておくようにしましょう!
クレームを隠さない!事例を共有する!対応策を日頃から周知する!
クレームを起こさないための接客スキル向上、商品開発も大切ですが、万が一クレームが起こってしまった時の対応方法もしっかりと身に付けておきたいものですね。
クレーム応対は、一時対応、二次対応など様々な立場でスキルが必要です。
接客業だけに限らず社会人であれば身に付けておきたいスキルでしょう。
私どもの研修では、講義はもちろん、業種に合わせたクレーム事例を取り入れたワークも行い、皆さんの不安が払しょくできるような内容をお届けしています。
どうぞお気軽にお問合せください。
Wellvy support
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Wellvy Support 代表
接客のプロ育成講師 早川 薫
接客業専門、企業の売上や業績アップをアシストする専門家。
マナーをはじめ、コミュニケーションや営業術、VMDなど接客業方向けの研修やセミナーを実施。
現場に即した内容で、リアルで分かりやすいと好評を得ている。
全国各地で対面・オンラインにて対応可能。
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