人財定着・顧客満足度向上に必要不可欠な「ES(従業員満足度)とは?」

従業員満足度とは、従業員が職場環境・人間関係・働きがい・待遇にどれだけ満足をしているかを表した指標です。
従業員満足度を上げることは、企業の業績、お客様満足度を上げることに直結します。
なぜならば、従業員が働き甲斐を持って働かなければ、お客様に良いサービス・商品を提供できないからです。

逆に、従業員満足度が低い会社は、離職率が高く従業員が定着しない、顧客満足度が低い、クレームが減らない、ミスが多いなどの傾向が見られます。

競合から自社が選ばれ、愛される企業になるためには、従業員満足度を上げることが必要不可欠なのです。

1.従業員満足度向上の必要性

従業員満足度とは、職場環境・人間関係・福利厚生などにどれだけ従業員が満足しているのか表した指標です。
英語では、Employee Satisfactionと言い、頭文字を取って「ES]と言います。
CS(Customer Satisfaction)という言葉は定着していても、ES(従業員満足度)を知らないという声をよく耳にします。
働き方改革が本格的にスタートした現代において、ESつまり、従業員満足度を上げる取り組みは必要不可欠なのです。
企業の業績アップだけでなく、顧客満足度(CS)向上、個人のモチベーションアップ、人財定着につながるからです。

企業は、顧客満足度アップに目を向ける前に、まずは従業員満足度向上に目を向けるべきでしょう。

2.従業員満足度向上で得られるメリット

従業員満足度上がることで得られるメリットは3つです。
 ・離職率が下がる
 ・顧客満足度(CS)向上
 ・企業の業績向上

従業員満足度を上げるということは、企業と従業員との間にWin-Winの関係性を築くことができるでしょう。

1、離職率が下がる


退職する理由で多く挙げられるのは「職場の人間関係」「評価してもらえない(褒めてもらえない)」などがあります。
職場間のコミュニケーションを密に取り、風通しの良い職場環境を作ることで、人間関係の構築に繋がります。
企業によってはイベント(運動会、キャンプなど)を企画して、先輩・上司間で気兼ねなく話せる場を提供することで職場の人間関係構築につとめている企業もあります。

優秀な人材ほど、周りの環境に敏感だったりします。人財不足に悩んでいる企業が多い中で、従業員満足度を上げることは、良い人財の確保に直結するのです。

従業員満足度が高い=長く働きたいと思える会社で人財定着、優秀な人材確保ができます。

また、良い評価・活動を広めることで、新たな良い人財を確保することにも繋がります。SNSなどで積極的に発信していくと良いでしょう。
今いる従業員満足度を高めるということは、未来の人材確保も期待できるのです。

2、顧客満足度(CS)向上

「ESなくしてCSなし」
つまり、ES(従業員満足度)が上がらなければ、CS(顧客満足度)を向上させることはできないということです。
例えば、従業員が毎日モチベーションが低い状態で出勤していたら、お客様に良いサービス・商品を提供しようという気持ちになるでしょうか?

恐らくならないでしょう。
業務時間が早く過ぎる方法を考えたり、他従業員とできるだけ話さない方法を考えたり、退職する方法を模索する人もいるかもしれません。

従業員の気持ち次第では、良いサービスや商品を良くも悪くもできるわけです。

つまり、従業員満足度を向上させることで、良いサービスや商品を提供できるようになるため、お客様の満足度も高まるのです。


従業員満足度が高い社員は、どのようにしたらお客様が喜ぶか、どんな商品に興味を持ってもらえるのか、その伝え方はなどお客様の満足度を高めるための行動をします。
お客様目線で考え行動し、親身に対応できるため、結果お客様満足度が上がるのです。

顧客満足度ばかりに目を向けがちですが、その前に、自社の従業員満足度に目を向けてみてください。
ESなくして、CSなしです。

3、企業の業績向上

従業員満足度が高い会社は、社員が積極的に考え行動します。
つまり、作業に無駄やミスが少なくなり高い生産性が期待できます。


社員が生産性の高い仕事ができていると実感することで、向上心が高まり高いモチベーションを保って仕事をすることができます。従業員満足度向上が社員一人ひとりの成長にもつながるのです。

また、生産性が高い会社は、社内コミュニケーションも円滑にできる傾向があります。何かトラブルがあった際にも、報連相が行き届いているため迅速に対応することができるのです。
ミスがあった時の対応は、スピードが命です。スピード感をもって正確に、真摯に対応することでお客様の信用・信頼が高まり業績向上につながるのです。

3、従業員満足度を向上させるための 5つのポイント

従業員満足度を向上させるためには、企業と従業員が同じ目標に向かって同じ気持ちで取り組んでいること、従業員への適正な評価制度、メンタルヘルスケアなどが必要です。

1、企業理念・目標の共有

企業理念とは、会社の価値観や行動指針を表したものです。
掲げているだけになっていませんか?

企業理念が社員に浸透している会社は、組織として一体感が生まれます。一体感が生まれることで、サービスや商品への気持ちが高まり、良いものを提供できるのです。
良いものを提供すると、対価や評価として従業員に返ってくるため、従業員満足向上に繋がります。

定期的に会社の価値、行動指針を全社的に発信していくと良いでしょう。部署ごとの目標なども意識に溝ができないように上司・部下のミーティングの場を設けて伝えていくようにしましょう。

例えば、企業理念が書かれた手帳サイズのものを全社員に配布し、毎朝朝礼時(シフトごとなど)に読み上げて意識を統一している企業もあります。
また、半期に一度、上司と部下の1対1の面談を行い、方向性の確認などのコミュニケーションの場を設けているところもあります。


このように、定期的に意識統一を図ることで、同じ気持ちで同じ目標に向かって業務に取り組むことができるのです。会社の役に立っている、貢献できていると感じることで、従業員満足度も高まります。

2、業務内容の適正化

「自分のやりたい仕事ができている」「自分の能力にあった仕事と仕事量で働けている」と感じることで、従業員満足度が高まります。

そのためには、一人ひとりが望む仕事内容と能力を会社は把握する必要があります。
方法としては、上司と面談をする、会社が社員に対してアンケートを実施し、個々の希望する仕事内容を知ることができます。

能力については、上司が日々しっかりと一人ひとりの仕事を見て判断します。現場のこと、仕事内容をよく理解していることを前提に、社員全員を平等に判断します。
現場現物で、会社は社員の能力を適正に判断し、仕事を振り分けます。
適正ではない、他のポジションの方が個の良さを発揮できるのではと判断した場合は、配置転換・教育などの迅速な対応が必要でしょう。

3、適正な評価制度

給与・賞与額は、社員のモチベーションに大きく影響します。
適正な評価での給与基準を設けましょう。社員から質問があった場合は、きちんと説明ができるように整えておきます。
「1年目だから」「昔からの決まりだから」など曖昧な返答は避けましょう。
「○○の資格を取得したから」「目標売上を達成したから」など明確な基準を設けるのも一つの方法です。
誰にでも分かりやすく、納得のいく評価制度を築いてください。


これまで、年次に応じて昇給していた企業が多くありました。しかし、近年では社員一人ひとりを評価し、能力に応じた給与を支払うように変更したという企業もあります。

仕事は好きだけど、給料が低くて続けられず、苦渋の選択で退職を選ぶ人もいます。


適正な評価を行うためには、社員をよく見る、社員とコミュニケーションを取る必要がありますから、結果的には業務の最適化にもつながってきます。

4、福利厚生の充実と利用しやすさ

福利厚生とは、給与や賞与といった基本的な対価に加えて会社から+αで提供されるものです。従業員本人のみではなく、家族や配偶者まで利用できることもあります。
従業員満足の向上、従業員のモチベーションやパフォーマンスを向上させることが期待できます。


例えば、住宅、慶弔金、休暇、レクリエーション、財産形成、研修制度などの手当があります。
福利厚生を充実させることで、ワーク・ライフバランスが良くなり、従業員満足度は高まります。プライベートの時間を充実させることで、働く意欲も向上するのです。

そして重要なのは、福利厚生の利用のしやすさと浸透しているかです。
福利厚生があっても全く社員に知られていない、利用しずらいとなると本末転倒です。
社内の掲示板に掲載する、パソコンで専用ページを作って社員がいつでも見れる環境を作りましょう。また、利用方法も明確に分かりやすくしましょう。
利用しやすい環境を作り、社員の心の休暇を会社が積極的に与えていきましょう。

従業員を大切にする福利厚生の充実は、企業の信頼性、イメージアップにも繋がります。

5、メンタルヘルスケア

職場での人間関係、取引き先との人間関係、仕事へのストレスは社員のモチベーションを下げ、精神状態を悪化させる要因となります。
最悪の場合は離職に繋がるケースがあります。

それらを防ぐためには、社員一人ひとりが抱えている悩み・不安などのストレスをいち早く吸い上げて解決していく必要があります。
人間関係などの精神状態は対面では言いにくい場合もあるため、アンケートを実施して調査するケースもあります。
「仕事やプライベートのことを気兼ねなく相談できる相手はいるか」
「先輩・上司との関係性は良いと感じているか」
などを調査します。

異変が見られた場合はすぐに対応できるように、メンタルヘルスの知識を上司はもって置くことをおくようにしましょう。

すぐに対応してくれる、いつも見てくれているという安心感は、従業員満足向上に直結します。


社員自らいつでも相談できる窓口を設置し、周知させておくことも大切です。

まとめ

従業員満足度を高めるためには、まずは企業の従業員満足度の現状を知ることが大切です。

「労働環境」「仕事内容」「人間関係」「評価制度」など、従業員に対して社内アンケート調査を実施するところから始めてみましょう。
アンケート形式で簡単にできるツールなどもあるので活用すると良いでしょう。Googleフォームなどは代表的なものです。


従業員満足度の現状を知ることで、その対策案が明確になります。

従業員満足度が低い企業は、従業員の離職を招き、生産性を下げ、企業の信頼も低くなってしまいます。
そのような事態を避けるために、普段から社員を観察し、コミュニケーションを取ることで、社員が抱えている悩み、不安を把握、解消することができるようになります。

従業員満足度を上げるためには、長期的に時間を要することもありますが、地道な取り組みが大きな成果、会社の成長に繋がります。

社員の幸せのため、会社の幸せのために!
従業員満足向上に向けた取り組みをしていきましょう。