SNSやメールが普及している昨今、固定電話に出たことがないといという新入社員もいるのではないでしょうか。
電話応対は、話す相手が見えないため、言葉でうまく伝える必要があります。
かけ方や、受け方にはいくつかコツがあります。コツをつかんで何度も練習すれば、対応も苦にならなくなるでしょう。
会社の顔として自信をもって対応できるように、電話の出かたのマナーとコツをお伝えします。
目次
・電話応対の心構え
・電話応対の基本(出かた)
・3コール以内で受話器を取る
・会社名と名前を名乗る
・相手の会社名と名前を復唱確認
・迅速に取り次ぐ
・代案と提案
・電話の切り方
・相手が名乗らないとき
・相手の声が聞こえなくなったとき
・伝言メモの残し方
・電話のかけ方と流れ
電話応対の心構え
電話応対は、会社の印象を左右するほど大切なものです。
このようにお伝えうすると構えてしまうかもしれませんが、大丈夫です。誰でも初めは不安と緊張でいっぱいになるものです。
その気持ちを少しでも和らげるためには、下記の電話応対の心構えをしっかりと備えておくことです。
○会社の代表でることを意識する
電話に出た人が会社の印象を作ります。つまり、電話に出たあなたが、会社の代表であることを念頭に置いておいてください。
電話応対では、一番初めのフレーズ「お電話ありがとうございます、○○会社××でございます」で印象が決まります。
明るく、ハキハキと対応するようにしましょう。
受話器を通じて相手に伝わる声は、こもって聞こえてしまうため、普段の声の高さよりワントーン高めに話すことをお勧めします。
明るいトーンの声を出すためには、表情は笑顔でなければ出すことが難しいです。口角を上げて笑顔ででるようにしましょう。
また、相手が見えないからと言って肘をついたり、他事をしながらの対応は禁物。声と通じて姿勢の悪さは相手に伝わります。姿勢を正して明るい声のトーンで話すことを心がけましょう。
○受話器は利き手と反対の手で取る
電話に出る前に、必ずペンとメモを用意しましょう。
デスクの電話の近くに常に置くようにすると良いです。電話応対では、相手の会社名、名前、要件を正確に聞き取る必要があります。
慌てて利き手で取ってしまうとメモが取れないので、必ず利き手と反対の手で受話器を取るように練習しましょう。
○正しい敬語を使用し、感情豊かに表現する
電話応対は相手の姿が見えないため、言葉だけで伝える必要があります。
ちょっとした言葉のニュアンスで相手を不快にさせてしまうこともあります。
電話の応対の仕方の前に、正しい敬語が使えるように身に着けてきましょう。また、ビジネスでは「もしもし」は基本使いません。使ってよいのは、相手の存在を確認するときのみです。
口癖で「もしもし、お電話ありがとうございます」などと言ってしまわないように注意しましょう。
電話応対の基本
心構えを備えたら、次はいよいよ実際に電話を出ることを想定して基本的な流れとポイントをやコツをお伝えします。
基本を何度も練習して少しでも緊張がほぐれた状態で対応できるようにしましょう。
3コール以内で受話器を取る
電話が鳴り、3コール以内で受話器を取り名乗ることを意識しましょう。
この「3コール以内」は、電話応対のビジネスマナーとして知られており、多くの企業で実践しています。
意識としては2コール以内を意識しておくと自然に3コール以内ででる癖がつくでしょう。
3コール以内で出ることができた場合は「お電話ありがとうございます」という挨拶から始まるのが一般的です。ただし、企業によって異なることがあるため、電話を出たときのフレーズは確認しておきましょう。
3コール以上鳴って出た場合は「お待たせいたしました」という言葉を冒頭に付けます。
5コール以上鳴って出た場合は、「大変お待たせいたしました」を加えて挨拶をします。
初めにもお伝えした通り、電話応対の第一印象はこの段階で決まります。
良い印象を与えられるよう明るくハキハキとした声で挨拶と名乗りを行いましょう。
会社名と名前を名乗る
電話に出たら「会社名」と「名前」を名乗ります。
会社名と名乗りはゆっくり、はっきりと名乗るようにしましょう。電話に出なれてくるとはこの名乗りの部分が早くなってしまうことがあります。そうすると、相手が聞き取りにくく、不安を与えてしまうため、ゆっくり・はっきりが鉄則です。
「お電話ありがとうございます、○○会社 ××でございます」
「大変お待たせいたしました、お電話ありがとうございます、○○会社 ××でございます」
などが一般的です。
相手の会社名と名前を復唱確認
こちらが名乗ったあと、相手の方が名乗りますので、手元のメモに会社名と名前をめもを取ります。
もし聞き取れなかった場合は、「恐れ入りますが、もう一度お名前をお聞きしてもよろしいでしょうか?」と丁寧に聞き返しましょう。
その際、「恐れ入りますが」などのクッション言葉を付けて丁寧に聞き返すことがポイントです。
唐突に、「お名前をもう一度お願いします」などと言わないようにしましょう。
聞き取った会社名と名前を声に出して復唱確認をします。
「○○会社の××様でいらっしゃいますね、お世話になっております」です。
NG例として「○○会社の××様でございますね」です。「ございます」は謙譲語ですので、「いらっしゃいすね」と尊敬語を使用するようにしましょう。
迅速に取り次ぐ
次に取り次の仕方です。
「○○様いらっしゃいますか?」と取次依頼であった場合
「○○でございますね、少々おまちくださいませ」と言って保留ボタンを押します。この際の言葉遣いは「ございます」の謙譲語を使用します。また、同じ会社の社員は呼び捨てです。たとえ社長であってもです。その時は「社長の○○でございますね」と言います。
取り次ぎ相手がすぐ隣の席で受話器をすぐに渡せる状態であっても必ず保留ボタンを押しましょう。
話口を手で押さえて小声で「○○さんから電話です」などと伝えてはいけません。
転送の場合は適切に転送します。
「○○会社の××様からお電話です、お願いいたします」と取り次ぎましょう。
取り次ぎは基本30秒以内で行います。
もし、取り次ぎに30秒以上かかってしまう場合は、もう一度受話器を取って今の状況を相手に伝えます。
例として
「××様、お待たせしております。申し訳ございません、○○は生憎他の電話に出ております、終わり次第こちらからお電話させていただきますがいかがでしょうか?」
などがあります。状況に合わせて相手に適切に伝えるようにしましょう。
取り次ぎはお待たせすることの内容に迅速に行うことが重要です。
代案と提案
相手が取り次いでほしい人がいない場合は、いない旨を伝えたのちに、必ず代案や提案を行います。
外出している、席を外している、他の電話に出ているなどの状況を伝えたのちに、「後で折り返す」「代わりに要件を聞く」などの提案を行いましょう。
問い合わせに対して、「できない」「わからない」だけで終わるのではなく、少しでも相手の要望に応えられるように誠意を見せるということです。
この代案・提案を行るか行えないかによって企業の良し悪しが決まるとも言われています。
また、代案・提案を行う時のポイントは伝え方です。
担当者が不在の場合「では、後ほど折り返しさせていただきます、お電話番号をお願いします」などとこちら都合と取れる言い方をしないことです。
この場合であれば「では、後ほど折り返しをさせていただきますが、いかがでしょうか?」と相手の都合をうかがう言い方をしましょう。
折り返しの連絡をする場合は、電話番号を聞くのを忘れないようにしましょう。
伝言を承った場合は、最後に内容と相手の会社名と名前を復唱確認します。そして、「××に申し伝えます」と言います。「言っておきます」「伝えておきます」ではなく、ビジネスでは「申し伝えます」と言います。
相手に、代案を行っても断られる場合もあります。その際は、「では、○○様からお電話があった旨を担当の××に伝えておきます」などと伝えられると好印象です。
電話の切り方
最後に電話の切り方です。
人間は感情の生き物と言われていて、最後の印象が脳裏に残ります。
これまで、どれだけ丁寧に対応しても、最後の電話の切り方が悪いとその印象が相手の記憶に残ってしまうのです。
最後のさいごまで気を抜かないようにしましょう。
問い合わせの電話の場合は、最後に「他にご不明点などはございませんか?」などと確認をすると親切です。
最後に自身の名前を名乗るのがポイントです。理由としては、相手に安心感を与えるためです。
「○○が承りました、お電話ありがとうございました、失礼いたします」です。
基本、電話を掛けた側(目上の方)から切るのが電話のマナーです。
相手が切ったのを確認してから、受話器をもっていない方の手で受話器のフックを押してから、静かに受話器を置きましょう。
ポイントは、フックを押してから受話器を置くことです。受話器をそのまま置くと「ガチャ」と置いてしまう可能性があります。
たとえ相手が切った後であっても、丁寧な対応を心がけましょう。
相手が名乗らないとき
基本、かけた相手も自分の会社名と名前を名乗るのがマナーです。
しかし、相手が名乗らないという時もあるため、その時の聞き返しの仕方です。
取り次ぎの際に、相手の会社名や名前がわからない、曖昧なまま取り次ぐことのないようにしましょう。
相手が名乗らない場合は、クッション言葉を使って丁寧に聞きましょう。
「恐れいりますが、会社名とお名前を教えていただけますでしょうか」と伝えて確認します。
急に取り次ぎを依頼されて焦ってしますかもしれませんが、相手の情報は確実に聞くようにしましょう。
相手の声が聞こえなくなったとき
電話は機械なため、電波などに左右されたり機器の異常などで相手の声が聞こえなくなってしまうことも度々あります。
その際の対応方法です。
会話の途中で声が聞き取りにくくなった場合、聞こえなくなった場合も落ち着いて対応できるように基本フレーズを覚えておきましょう。
NG例としては
「すいません、声が聞こえないんですけど・・・」などと唐突に伝えてはいけません。相手が責められていると感じ取ってしまう可能性があります。
その際は決まり文句で「もしもーし、お電話が遠いようですが、もしもーし」と伝えましょう。ビジネスで「もしもし」は使いませんが、この場合のみ相手の存在を確認するために「もしもし」は使ってもよいとされています。
「お電話が遠いようですが・・・」と確認してもまだ声が聞こえない場合は、「お電話が遠いようですので切らせていただきます、失礼します」と言って電話を切るようにしましょう。
相手にはこちらの声が聞こえている可能性もあるため、こちらの状況をしっかりと伝えたうえで切るようにします。
その後、相手に電話をかけ直すなどの対応を行います。
伝言メモの残し方
伝言をお願いされて時は必要な情報を分かりやすくメモに残します。
メモに残す情報は
・受電日時(24時間表記で)
・相手の会社名と名前
・要件
・要望(折り返しが欲しいなど)
・相手の電話番号(折り返しが必要な時)
・自身の名前
以上の内容をメモに残し、担当者のデスクに置きます。
担当者が戻ってきたときには、メモを残した旨を口頭でもお伝えすると伝え漏れがなくなります。
電話のかけ方と流れ
続いては、電話のかけ方の基本の流れをご紹介します。
掛ける前には何について話すかを整理し、必要な書類などを手元に置いたうえで架電します。
掛ける時間帯は、勤務時間内であること、昼食時間はさけるなどの心配りをしましょう。
どうしてもその時間といけない場合は、「昼食時間に失礼いたします」などの配慮の言葉を忘れないようにしてください。
会社名・名前を名乗る
電話を掛けたら、自身の会社名、名前を明るく・ハキハキと名乗ります。かけた際も、この一言が第一印象に繋がります。良い印象が与えられるように意識することが必要です。
また、取引先などであれば「いつもお世話になっております」などの挨拶を入れると良いでしょう。
「いつもお世話になっております、私〇〇会社の✕✕と申します」
取次ぎを依頼する
担当者に取次ぎを依頼します。クッション言葉を使って丁寧にお願いしましょう。
「恐れいりますが、✕✕様は今お手すきでいらっしゃいますでしょうか?」
「恐れ入りますが、✕✕様はいらっしゃいますでしょうか?」
担当者在籍の場合
取次ぎを依頼して、担当者に代わった際は、もう一度会社名と名前を名乗ります。
そして、要件を伝え今話しても良いか状況を確認して本題に入るようにします。
「いつもお世話になっております、〇〇会社の✕✕でございます。お忙しい中恐れりますが、先日の会議の件でお電話させていただいました。今お時間よろしいでしょうか?」
担当者不在の場合
担当者が不在の場合は、こちらから折り返しの電話をするか、伝言をお願いします。
不在であることも事前に予想して対応方法を考えてから架電すると良いでしょう。
「何時ごろお戻りでしょうか?」
「それでは、改めてこちらからお電話させていただきます。よろしくお願いいたします。失礼いたします」
「恐れいりますが、伝言をお願いできますでしょうか?」
※伝言をお願いした際は、お願いした相手の名前を聞いておくと安心です。
電話を静かに切る
要件を伝え終えたら、静かに受話器を置きます。架電の際も最後のさいごまで気を抜かずに対応するようにしましょう。
いかがでしたでしょうか。
電話応対の基本についてお伝えしてまいりました。
初めのうちは緊張をしたり、マニュアルを見ながらになるかと思います。電話応対の決まり文句やポイントなどはあらかじめ暗記をしておくと良いでしょう。
何より、何度も練習をして、電話になれることが大切です。失敗を恐れずに口に出して何度も練習しましょう。
そううすることで、会社の代表として自信を持って電話応対ができるようになるでしょう。
明るく、ハキハキと言葉に気持ちを込めて相手を気遣った対応をすることを忘れないでください。
**********************************************
Wellvy Support 代表
接客のプロ育成講師 早川 薫
接客業専門、企業の売上や業績アップをアシストする専門家。
マナーをはじめ、コミュニケーションや営業術、VMDなど接客業方向けの研修やセミナーを実施。
現場に即した内容で、リアルで分かりやすいと好評を得ている。
全国各地で対面・オンラインにて対応可能。
**********************************************